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トピックス# 90: 労働/私傷病休職
R07.6.7
 休職とは、従業員について労務に従事させることが不能又は不適当な事由が生じた場合に、 使用者が労働契約関係そのものは維持させながら労務への従事を免除すること又は禁止することとされています。休職の内容等についての法律上の規定はなく、 使用者が休職制度を採用するか否かは自由です。そのため、休職事由、休職の効果等は労働基準法等の強行規定に反しない限り就業規則で自由に定めることができます。 休職制度として定められている例は、@私傷病休職、A事故欠勤休職、B起訴休職、C出向休職、D組合専従休職等です。
 @私傷病休職は、業務外の傷病による欠勤等が一定期間に及んだときに行われる休職措置であり、一般的に解雇猶予措置と理解されています。 業務上の傷病(労災)による休業とはまったく異なる制度です。
 私傷病休職で問題となるのは、休職期間の満了時の取扱いです。就業規則上、休職期間満了までに休職事由が消滅(治癒)しなければ、自然退職とするか、 あるいは解雇する、と定めるのが通例です。自然退職として扱う場合は、使用者の特段の意思表示なく退職の効力が発生し、原則として解雇権濫用法理(労働契約法16条)の適用はありません。 他方、解雇として取り扱う場合は、労働者に対する意思表示が必要となり、また、解雇予告の規制(労働基準法20条)、解雇権濫用法理が適用されます。ただし、 休職期間満了までに休職事由が消滅(治癒)しなければ、休職期間満了による解雇は原則として解雇権濫用とはなりません。業務上の傷病による休業の場合は、 労働基準法19条による解雇制限があり、労働災害補償(労働基準法75条以下)、損害賠償、賃金支払い(民法536条2項)等の問題が生じます。
 私傷病休職の場合、治癒したか否かに関する立証責任は、一般的に労働者側の負担とされています。私傷病の回復の程度は医師の専門的診断に基づかなければ判断が困難であるため、 就業規則上、労働者が復職を求める場合は、一般的に主治医や産業医の診断書等の提示を求めています。主治医は、継続的に労働者本人の診療を行っているものの、 使用者の具体的な業務内容等を把握していないことが多く、また、労働者本人・家族の意向がその診断書に反映されやすいと指摘されています。他方、産業医は、 使用者の具体的な業務内容は把握しているものの、労働者本人の診療を継続的に行っているわけではありません。このように主治医と産業医とでは立場が異なりますので、 両者の診断が異なる場合に問題が生じます。一般的には、主治医の判断が重視される傾向にあるとされていますが、主治医の診断書の信用性を否定した判例もあります (名古屋地裁平成29年3月28日、東京高裁平成29年11月15日等)。

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